赤い電車

久しぶりに羽田から国内線に乗ることになりまして、品川駅で京急を待ってると到着BGMが赤い電車でした。長いこと使われてるなー、と思いつらつらと書いてみます。
赤い電車はNIKKI期の曲だけども、あんまりNIKKIという感じがしない不思議な曲だと思ってました。NIKKIぽくないのは、軽さのようなものなのかなと。

ただ、NIKKIは、Tonight Is The Nightみたいな迫力のある曲もあるけど、軽快な曲とか力を抜いたボーカルの曲もたくさんあって、でもその中でも赤い電車は異質な感じがしたんですね。


それで、リリースから大分経つんですが、いつぞやの武道館公演で、赤い電車の演奏を見たときに赤い電車の印象が変わった気がします(鍵盤に堀江さん、ドラムにあらきさんが入ってて、演奏前に岸田が「ダァッ、シャリェース」と車掌のモノマネを入れ、ステージ後ろのスクリーンに京急線の映像が流れた)。
あらきさんのドラムが四つ打ち感を強くしてて、そこに岸田のアコギが軽快に乗るのを聞いて、「赤い電車ってミニマルなダンスミュージックなんだ」とフニオチしたのでした(ミニマルに詳しくないので誤用かも)。

そう思ってよくよく聴きなおすと、プァープァッパーポッポの電子音とか、京急線のモーター音とか、控えめなキックとか、テクノの音が散りばめられてて、元々シングルのカップリングはDJアーティストのリミックスだったりなので、そう考えるとごく当たり前なのだけど、あらためてダンスミュージックなんだなあと思ったのです。
たしか、その武道館公演では、赤い電車のアウトロからワールズエンドスーパーノヴァに繋いでいて、それがまた滑らかで、大変気持ちよいセットだったと記憶してます。

そう思うと、NIKKIぽくないなというのは納得感があって、NIKKIはどちらかというとギターもドラムも生の音で、打ち込みとは真逆の、人の手による音を大切にしてる曲を集めてるので、そこに赤い電車はテクノなので「なんかNIKKIぽくない」感じがあったのかな、と。(これ、NIKKIが出たときから言ってる人がいたらすごい今更ですね。でも自分の気付きとしては、今更ですがそう思いました。)


リリース当時、Mステにくるりが出てたのを記憶してて、そのころはあまりくるりのことをよく知らなかったので、単に良い意味で軽くておしゃれな曲と思った気がします。くるり自体もそういうバンドなのだと思っていたら、アルバムごとに全然ちがうことを知ったり、あとRIJF2006の街に衝撃を受けるなどがあり、懐が広いというか深いというかなんというか(でも今でこそ岸田の発言を見るにつけ、その時その時でのめり込むタイプなので別に懐は深くないと思う)、大きいバンドなのだと思うようになりました。
赤い電車が、どのアルバムと近いのかと考えると、楽曲としてはチームロックなのかなと思いますが、歌詞はチームロック的ではない気がする(チームロックの頃の岸田は書かなそうという意味)ので、やはりNIKKI期に起こった突然変異的なものなのかなと思うと色々感慨深いです。
2005〜6年当時、(そんなにライブを見てませんが)演奏してた記憶もないのですが、時が経って違和感なくライブで演奏できるようになったりするから面白いです。セットリストはパズルみたいなものですが、この並びで聴くとなるほど、となったりするのがあったりするので、くるりのライブはそういうところも好きです。
発売当初に普通に聴し流してしまった曲が、数年後にライブで聴いたりなんかの拍子に突然入ってくることもありますね。Baby I Love Youはワルツを踊れのツアーをNHKホールで見たときにシンプルな音を聴いたら「こんなに素直でいい曲だったのか」と思ったし、デルタなんかは、京都に音博を見に行ったときに、なんだか無性に口ずさみたくなりました(いかにもって感じで若干うへえですね)。
色んな曲の引き出しができればできるほど、あと、時間が経つほど、そういう瞬間に出会える可能性が広がる気がして、だから、くるりの新譜を買ったときは過去の作品と並列で聴くのが楽しみです。

最近はライブを見れてないのでわかりませんが、赤い電車が自然に組み込まれたセットのライブをまた見たいなと思いました。